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ドメイン駆動設計

リポジトリ・パターン

概要

 「リポジトリパターン」とは、ソフトウェア設計パターンの一つであり、データベースや永続ストレージとの間でデータの取得、保存、更新、削除などの操作を行うための中間層として機能するオブジェクトの設計手法です。

リポジトリパターンでは、データの永続性を担保するために、データベースや永続ストレージとの直接的なやり取りを行う代わりに、リポジトリと呼ばれるインターフェースを介してデータアクセスを行います。リポジトリは、データの操作に関する一連のメソッドを提供し、データの詳細な実装はリポジトリを実装するクラスに任せます。

リポジトリパターンの主な目的は、データベースや永続ストレージにアクセスする責任をリポジトリに集約することで、データアクセスコードを分離し、データベースへの依存を抽象化することです。これにより、データベースの変更や切り替えが容易になり、アプリケーションのテストや拡張性が向上します。

一般的なリポジトリパターンの構成要素は次のとおりです:

  1. リポジトリインターフェース(Repository Interface):リポジトリの操作を定義するインターフェースです。データの取得、保存、更新、削除などのメソッドが含まれます。
  2. リポジトリ実装クラス(Repository Implementation Class):リポジトリインターフェースを実装する具体的なクラスです。データベースや永続ストレージとの実際のやり取りを行います。
  3. ドメインオブジェクト(Domain Objects):アプリケーションのビジネスロジックを表すオブジェクトです。リポジトリを通じてデータの読み書きが行われます。

リポジトリパターンは、特にデータベースや永続ストレージとのデータアクセスが頻繁に行われる場合や、テスト容易性や柔軟性が求められる場合に有用です。また、アプリケーションのアーキテクチャをクリーンに保ち、データアクセスの責任を明確にするためにも使用されます。

コード例

以下は、C++でのリポジトリパターンの簡単なコード例です。例として、ユーザーのデータを保存・取得する UserRepository クラスを作成します。

この例では、User クラスはユーザーのデータを表すクラスです。UserRepository クラスはリポジトリのインターフェースを定義し、InMemoryUserRepository クラスはリポジトリの実装クラスとなります。InMemoryUserRepository クラスでは、ユーザーデータをメモリ内の std::vector<User> コンテナで管理しています。saveUser メソッドはユーザーデータを保存し、getUser メソッドは指定した名前のユーザーデータを取得します。main 関数では、InMemoryUserRepository クラスのインスタンスを作成し、ユーザーデータを保存してから取得しています。

この例ではシンプルなメモリ内のデータ保持ですが、実際のアプリケーションではデータベースやファイルなどの永続ストレージとのやり取りを行う実装クラスを作成することが一般的です。